今回は、尺骨(しゃっこつ)をみてみましょう。
前回、上腕骨(じょうわんこつ)をみました。
今回みる尺骨は、この上腕骨の先にくっつく骨で、前腕部分の骨になります。
ぼくたちの腕を解剖学で見える化すると、上腕部分には、上腕骨という骨が一本あり、前腕部分は、尺骨と橈骨(とうこつ)という2本の骨に分かれています。
今回見ていく尺骨は、この2本の骨のうち、小指側についている骨です。
この骨の形は、六角レンチみたいな形をしています。
解剖学をはじめて学ぶときは、骨がたくさんあるので、なかなかイメージできるようになるまでが大変です。
そんな時は、すでに知っていモノと関連付けて覚えると覚えやすいです。記憶術で使われてるテクニックですね。
人の体を見たとき、尺骨の形がイメージできない人は、まずは六角レンチを思い出して、それから、骨の形のイメージに変えていくと、体の見える化が楽になります。
骨格模型でリアルにみてみましょう!
尺骨は、六角レンチのかたちに似てますが、ハサミみたいに広がっている方が肘関節側になります。
尺骨は肘側が太くて、手関節側が細くなっています。
尺骨の肘関節側を拡大してみると、こんな形をしています(上の写真)
肘関節の動きは、この尺骨と上腕骨のつなぎ目の関節の形にそって動くようにできています。
上腕骨と尺骨のつなぎ目の関節が得意な動きは、肘の曲げ伸ばしです。
骨を見るときは、その輪郭をみて、その形をしっかりイメージできるようになることが大事ですが、この時、特に関節部分の形をみるようにしましょう。
関節の形をイメージできるようになると、そのイメージがボディコントロール力につながります。
この関節を意識したボディコントロール力は、体力強化や健康体操のときの体の操作につながるし、その関節のケアをするときも役立ちます。
野球選手のような肘を酷使するスポーツを長年していた方の中には、この関節が硬くなって、肘関節が伸びにくくなっていることがあります。
他にも、体が柔らかい女性だと、肘関節が伸びすぎるために、ヨガのような肘を伸ばす動きが出てくるポーズの時にケガをしないように注意が必要な方もいます。
そんなときに、体の中の構造や仕組みが分かると、現状把握がしやすくなると、対策を取りやすくなります。
体の中が見えないと、疑問や問題が起きたときもどうなっているかが分からないのでどうしたらいいかが分かりません。
解剖学の講座をしていると、すでに指導されている先生たちから、生徒さんに体のことを質問されたときに、どう答えていいかわからない、自信が持てないといったことを相談されることがあります。
そんなときに解剖学で体のしくみがわかっていると安心です。
解剖学的なボディイメージで体の中を見える化できる力は、いろんな場面で役立つ、基礎力になります。
まずは、じっくり尺骨を眺めて、かたちをイメージできるようになりましょう。
一回みただけでは、イメージできるようになるのは難しいので、何度も尺骨をみてください。
そして、スポーツや日常生活の姿勢つくりのときに尺骨を意識して動いてみましょう。