今回は、肩甲骨と上腕骨のつなぎ目の関節、肩関節(けんかんせつ)をみてみましょう。
肩の関節は、かた関節といった方が分かりやすいかなと思いますが、医学用語は訓読ではなく、音読をしますので、かた関節ではなく、けん関節といいます。
肩関節は、肩甲骨側が受け皿のように凹んでいて、上腕骨側が丸くなっています。
関節を見るときのポイントは、関節の位置と、関節の形です。
肩関節は丸いかたちをした関節です。
丸い形をしているので、肩関節はいろんな方向にクルクルとよく動く関節になります。
・腕を頭の方向に挙げる
・背中側に引く
・肩関節を軸に腕を内側にひねる
・肩関節を軸に腕を外側にひねる
・腕を胸の方曲げる
といった360度いろんな方向に動く関節です。
ただ、例えばバンザイのような腕を大きく使う動きは、この関節だけの動きではなく、肩甲骨や背骨の動きも混ざっています。
下のイラストのような動きです。
腕の動きを観察したり、分析したりしたいときは、肩関節だけでなく、肩甲骨や背骨の動きも知っておくことが大事です。
肩甲骨と肩関節を知ることで、腕の動きを、ただ挙げる、下げるという見方をするのではなく、肩甲骨をどうなっているだろう、肩関節はどうなっているだろうと、体の中を見える化しながら、観察や分析ができるようになります。
ただ、このような観察や分析をしたいと思ったときに、本でみただけの解剖学では、実際の体のどこに肩関節があるのか、あいまいになりがちです。
もっと、関節の位置を正確に見える化できるようになるためには、触って関節の位置を確かめるといいです。
正しい位置で肩関節を触りながら、肩関節を動かせば上腕骨の丸い部分がコロコロと体の中で動くのが分かります。
イラストのように、触ったり動かしたりしながら少しずつ自分の体の中にリアリティを感じる解剖学ボディイメージをつくっていきましょう。
骨格模型で肩関節をみてみましょう!
骨格的にみると、腕のはじまりは肩関節ではなく、肩甲骨と鎖骨になります。
腕の動きは、肩甲骨と肋骨の間の関節(肩甲胸郭関節 けんこうきょうかくかんせつ)と、肩関節のチームワークです。
動画でも肩関節の動きをみてみましょう。
長時間のデスクワークをしている人は、腕をよく使うので、肩に負担がかかって、肩回りの筋肉にこりができていることが多いです。
その結果として、肩こりや首こりを感じたり、人によっては五十肩のような痛みにも関係することがあります。
解剖学で体の中を見える化できるようになると、このような時に、体がどうなっているから肩に負担がかかっているかが分かります。
そして、どう姿勢を改善したらいいかなど、体のケアや体の使い方などの対処法もわかります。
これは旅行するとき地図をもっていると旅行がしやすくなるのと同じです。
まずは、じっくり肩関節を眺めて、かたちをイメージできるようになりましょう。
1回みただけでは、イメージできるようになるのは難しいので、何度も肩関節をみてください。
そして、スポーツや日常生活の姿勢つくりのときに肩関節を意識して動いてみましょう。