今回は、骨盤と大腿骨のつなぎ目の関節、股関節(こかんせつ)をみてみましょう。
骨盤側が受け皿のように凹んでいて、大腿骨側が丸くなっています。
この2つの骨を初めて見る人のために、まずは骨盤と大腿骨のイラストをのせておきます。
まずは骨をしっかり見てイメージできるようになりましょう。
骨盤は、とても有名な骨ですが、形はけっこう複雑ですので、しっかりみておきましょう。
大腿骨は、細長い大きな骨で、L字型をしてます。
関節を見るときのポイントは、
・関節の位置
・関節のかたち
です。
股関節は丸いかたちをした関節です。
丸い形をしているので、股関節はいろんな方向にクルクルとよく動く関節になります。
・股関節を曲げる
・股関節を伸ばす
・股関節を軸に脚を内側にひねる
・股関節を軸に脚を外側にひねる
・股関節をクルクルまわす
といったいろんな方向に動く関節です。
ちなみに、股関節と肩関節はとても似た構造をしています。どちらも、丸い関節です。
ただ、体重を支える股関節と、体重を支える必要のない肩関節では、関節の安定性が違います。
その違いは、骨盤と肩甲骨の受け皿側の凹みの深さをみてもわかります。
受け皿の凹みは、骨盤が深くて、肩甲骨が浅いです。凹みが深い股関節の方が関節が安定する構造です。
こういう風に、関節のかたちをみていると、いろんな発見があり面白いです。
また、解剖学は本来見えない体の中を見える化してくれる学問なので、脚の動きを観察するとき、ただ曲げる、伸ばすという見方をするのではなく、股関節はどうなっているだろうと、体の中を見える化しながら、観察や分析ができるようになります。
ただ、このような観察や分析をしたいと思ったときに、本でみただけの解剖学では、実際の体のどこに股関節があるのか、あいまいになりがちです。
もっと、関節の位置を正確に見える化できるようになるためには、触って関節の位置を確かめるといいです。
股関節は上のイラストのパンツラインの真ん中あたりです。
この解剖学ボディイメージをもとに、この部分に意識を向けながら股関節を動かせば、関節の動きを引き出しやすくなるので、ボディコントロール力がアップします。
触ったり、動かしたりしながら少しずつ自分の体の中にリアリティを感じる解剖学ボディイメージをつくっていきましょう。
骨格模型で股関節をみてみましょう!
股関節をお腹側からみるとこんな感じです。
背中側からみたらこうです。
これはお腹側からみた骨盤です。
外側からみた骨盤。真ん中あたりの凹みが、大腿骨が入る受け皿になります。
お腹側からみた大腿骨です。下についている小さな骨は膝蓋骨(しつがいこつ いわゆる膝のお皿)です。
この大腿骨の上側の丸い部分が、骨盤の凹みとつながって、股関節をつくります。
こんな感じで大腿骨が骨盤の凹みにはまります。
股関節をみたので、ついでに肩関節もみて、比べてみましょう。
これは、外側からみた肩甲骨ですが、この上の丸い部分が、上腕骨とつながる肩関節です。
凹みが骨盤と比べて浅いのが分かると思います。
上の写真をみると、肩関節は、股関節に比べてつなぎ目の受け皿が浅いのが分かると思います。
肩関節が股関節より脱臼しやすいのは、このためです。
それでは、股関節の動きを動画でみてみましょう。
股関節の状態がいいと、股関節はクルクルといろんな方向に動く関節です。
逆に、股関節の調子が悪いと、クルクルまわる動きに硬さがでたり、痛みやつまりを感じたりすることが起きやすいです。
解剖学で体の中を見える化できるようになると、このような時に、体がどうなっているかを観察・分析しやすくなります。
そして、どう体のケアや体の使い方などを変えたらいいかといった対処法もわかります。
これは旅行するとき地図をもっていると旅行がしやすくなるのと同じです。
まずは、じっくり股関節を眺めて、かたちをイメージできるようになりましょう。そして、解剖学ボディイメージを手にいれましょう。
1回みただけでは、イメージできるようになるのは難しいので、何度も股関節をみてください。
そして、スポーツや日常生活の姿勢つくりのときに股関節を意識して動いてみましょう。
日常生活で解剖学を使うことで、初めて解剖学は役に立つし、解剖学が面白くなります。