前回は、股関節を動かす筋肉の中のお腹側についている筋肉(大腰筋・腸骨筋・股関節内転筋群)をみました。
今回は、股関節の背中側についている筋肉をみてみましょう。
股関節につく筋肉は、骨盤、そして、大腿骨につくので、筋肉を見る前にこれらの骨を確認してイメージできるようになっておきましょう。
![骨盤](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/06/3ec9621d2367881134b1d3185d8c750c-1024x1024.png)
![大腿骨](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/06/a7d38f977e761224f0262f7549761dfa-1024x1024.png)
股関節は、骨盤と大腿骨のつなぎ目の関節です。
![股関節](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/06/7b29229bb4352d298e5a6b563b8e152c-1024x1024.png)
股関節を見ると、大腿骨の先端が丸くなり、骨盤の深いくぼみにはまるようについています。この形のおかげで関節がクルクル回り、脚をいろんな方向に動かせます。
![股関節の動き](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/06/8b8bdd53b65ed9cae59821d9be3c4ce4-1024x1024.png)
今回は、この股関節を動かす筋肉の中の背中側につく筋肉、
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/47beed89acb4242027af06784bdb2f1a-4-1024x1024.png)
・大殿筋(だいでんきん)オレンジ色
・中殿筋(ちゅうでんきん)紫色
・小殿筋(しょうでんきん)黄緑色
・梨状筋(りじょうきん)水色
この4つの筋肉をみていきたいと思います。
筋肉は、骨にくっついていて、縮んだときにその骨と骨のつなぎ目部分の関節を動かします。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/b622c1d71242e1962e5be5b5af595916-4-1024x1024.png)
それでは、筋肉をみてみましょう。
股関節を動かす筋肉を見てみよう!
まずは、大殿筋です。
大殿筋(だいでんきん)
大殿筋は、お尻の丸みをつくっている筋肉です。とても大きな筋肉で、スポーツで脚を大きく動かすパワー筋です。葉っぱのような形をしています。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/064b066138ed5d1cc13ed2db37e1cad3-4-1024x1024.png)
筋肉がくっついている骨の部位を解剖学では、起始停止(きしていし)といいます。
大殿筋の起始停止
起始:骨盤の背中側(イラストの緑の部分)
停止:大腿骨の背中側、腸脛靭帯(イラストの青の部分)
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/955ab3383cbeb06e4be7cd2dddc7671e-4-1024x1024.png)
背中側からみた大殿筋の起始停止です。
この筋肉がお尻の丸みをつくっています。
体の外側からみると、
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/9e227cafb5d2b14961233ddd4546926a-4-1024x1024.png)
起始停止はこうなります。外からみると股関節を包み込むようについているのがよく分かると思います。
大殿筋が働くと、この筋肉が骨のついている部位をひっぱって、またいでいる股関節を動かします。
筋肉の働きのことを解剖学では、作用(さよう)といいます。
大殿筋の作用
今回は大殿筋の代表的な3つの作用をみていきます。1つ目は、
作用1:股関節を伸ばす
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/0a63d1100f1ce3e8d06d9fc60fe0da08-4-1024x1024.png)
この筋肉全体を使うと、上のイラストのように股関節を伸ばす作用になります。
次は、大殿筋の上部が働く場合と下部が働いた場合の2つの作用をみていきます。
上部が働いた場合の作用は、
作用2:股関節を外側に開く
作用になります。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/9c5afc8fc239d5a3ede14abbb96c40df-4-1024x1024.png)
大殿筋の下部が働いた場合は
作用3:股関節を内側に閉じる
作用になります。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/41d1285b538a3821d6316e420b12643d-4-1024x1024.png)
この作用2と3のように、筋肉の作用は、同じ筋肉でも筋肉のどの部位が働くかによって作用が変わります。
これが分かってくると、同じ筋肉の中でも使い分けができるようになります。この使い分けはボディコントロール力を高める力になります。
次は、この大殿筋が日常生活ではどんなときに活躍しているかをみてみましょう。
日常生活のどんな時に使っているかを知ることで、生活の中で筋肉を意識できるようになるし、解剖学を生活に活かせるようになります。
ラインニングをするとき
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/06/879942912473cd933da31503a340ffb4-1024x1024.png)
走るときに地面を蹴るために股関節を伸ばしますが、このときに大殿筋は活躍しています。ジャンプのような強いパワーを発揮する動きでは必ず活躍しています。
他にも、
掃除機をかけるとき
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/06/a0768670c295104f42a97ece5ed32557-1024x1024.png)
体重を支えるのも、この筋肉の役目。歩くときはもちろん、掃除機をかけるような日常生活の動きでも活躍しています。
次は、中殿筋(ちゅうでんきん)・小殿筋(しょうでんきん)をみてみましょう。
中殿筋(ちゅうでんきん)・小殿筋(しょうでんきん)
大殿筋の奥には、中殿筋と小殿筋という筋肉がついています。“殿”とはお尻のことですが、大きいお尻の筋肉の下につく、中くらいと小さいお尻の筋肉ということで、中殿筋、小殿筋です。
この2つの筋肉は、ついている部位や作用がとても似ているので、まとめてみていきます。
どちらも豆電球のような形をした筋肉です。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/246cb8587ba8038341894e0db8710413-4-1024x1024.png)
中殿筋・小殿筋の起始停止
起始:骨盤の外側(イラストの緑の部分)
停止:大腿骨の外側(イラストの青の部分)
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/45691d3e3dfe989e139a6d64cb1e2783-5-1024x1024.png)
中殿筋も小殿筋も骨盤の背中側で重なり合うようについています。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/fa29f5f9fcedddad4bb490677c48a584-2-1024x1024.png)
次は、
中殿筋・小殿筋の作用
中殿筋・小殿筋の3つの作用をみていきます。
作用1:股関節を外側に開く
作用になります。
中殿筋・小殿筋の代表的な作用は、この股関節を外に開く作用です。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/6620db4299174b9715a3347f476faa66-3-1024x1024.png)
他にも、働く部位によっては、
作用2:股関節を内側へひねる
作用もあります。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/563dc4ba6d28ee560aff059c55784300-2-1024x1024.png)
そして、片足立ちのときにもこの筋肉は活躍しています。
作用3:軸足側の骨盤を安定させる
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/9b581768a7f16dab677c2b891926bd3b-4-1024x1024.png)
中殿筋や小殿筋は骨盤を大腿骨側に引き付けて、骨盤がグラグラしないように安定させる作用があります。
片足立ちのときに、中殿筋や小殿筋を意識して使えるようになると、片足立ちが安定します。
筋肉を意識できるようになることで、ボディコントロール性を高めることができるようになります。
次は、中殿筋・小殿筋が日常生活ではどんなときに活躍しているかをみてみましょう。
日常生活の中でどんな時に筋肉をつかっているかを知ることで、生活の中で筋肉を意識できるようになるし、筋肉に対するリアリティが高まります。
また、生活の中で筋肉を意識していくことで、体の中の観察・分析力が高まります。
中殿筋・小殿筋はこんな時に活躍しています。
脚を開くエクササイズをするとき
![中殿筋・小殿筋](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/06/69374d04b75053c2ecaf623fe1436aba-1024x1024.png)
股関節を外側に開くときにこの筋肉は活躍します。床に横向きになり、脚を上げるエクササイズをすると、この筋肉を鍛えることができます。
他にも、
サイドステップをするとき
![中殿筋・小殿筋](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/06/38f908b1fab78da52fc10d66e6846a90-1024x1024.png)
エアロビクスやダンスなどで、股関節を開き、横に素早くサイドステップをするときも、この2つの筋肉が活躍しています。
股関節を動かす背中側の筋肉の最後は、梨状筋をみてみましょう。
梨状筋(りじょうきん)
梨状筋は、お尻の深い部分についている細長い洋梨みたいなかたちをした筋肉です。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/0ea5ea54b66eb67394b2f818b2a2f6da-4-1024x1024.png)
梨状筋の起始停止
起始:骨盤(仙骨)の側面(イラストの緑の部分)
停止:大腿骨の外側(イラストの青の部分)
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/13c052f396a73fcbc5193acc1266a93b-4-1024x1024.png)
梨状筋の作用
梨状筋は骨盤と大腿骨についているので、この筋肉が縮むと、大腿骨を骨盤側にひきつけるので、
作用1:股関節を外にひねる
作用になります。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/0d221f180cfcaf25513cf69587f9789b-4-1024x1024.png)
この作用以外にも、股関節がグラグラしないように、
作用2:股関節を安定させる
作用もあります。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/acbf0eb310cff0215dd97684b0deb8d9-4-1024x1024.png)
最後は、梨状筋が日常生活の中でどんな時に活躍しているかをみてみましょう。
かっこよくポーズをとるとき
![梨状筋](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/06/e9d597592f9921d8c3adb18932318715-1024x1024.png)
股関節を外側にひねるときに働く梨状筋。モデルのように、脚をひねって立つポーズをとるときに活躍しています。
他にも、
ふんばって立つとき
![梨状筋](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/06/1d93f1f435dca8525fda7c24baa203a8-1024x1024.png)
梨状筋は股関節を安定させる作用があるので、イラストのように重いものを持って踏ん張るときにお尻の奥で活躍しています。
今回は、股関節の背中側についている筋肉、大殿筋、中殿筋、小殿筋、梨状筋をみました。
前回は、背中側についいてる股関節を動かす筋肉とセットで使うことで、股関節をいろんな方向に動かすことができるようになります。
一緒に覚えておくと、股関節のことをより深く理解できるようになります。