腕から手にかけてついている筋肉は、日々忙しく活躍していくています。
日常生活の中でぼくらが、バッグを持ったり、ドアを開けたり、パソコンで文字をうったりできるのは、たくさんの筋肉たちのおかげです。
腕から手にかけてついている筋肉はたくさんありますが、今回は、
●手のひら側につく
・上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)
・前腕屈筋群(ぜんわんくっきんぐん)
●手の甲側につく
・上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)
・前腕伸筋群(ぜんわんしんきんぐん)
をみていきます。
腕や手の動きは、これらの筋肉が協力し合っておこなっています。
これから、この4つの筋肉がついている部位と働きを見ていきたいと思いますが、その前に、これらの筋肉がつく腕から手部分の骨を確認しておきましょう。
腕から手部分には、肩甲骨(けんこうこつ)、上腕骨(じょうわんこつ)、尺骨(しゃっこつ)、橈骨(とうこつ)、手の骨があります。
背中の上部には肩甲骨がついています。
二の腕部分には、孫の手のような形をした上腕骨があります。
前腕部分の骨は、2本に分けれていて、親指側が橈骨、小指側が尺骨です。
手首より先には、ちいさな骨がたくさんあります。
筋肉は、これらの骨にくっつきますので、まずは骨をしっかり見て、イメージできるようになりましょう。
筋肉は、骨にくっついてい、縮んだときに、その骨と骨のつなぎ目部分の関節を動かします。
上腕骨と尺骨、橈骨の間の関節を、肘関節(ちゅうかんせつ)といいます。
そして、尺骨と橈骨、手の骨の間の関節を手関節といいます。
この肘関節と手関節の動きをつくるのが、上で紹介した4つの筋肉になります。
腕と手を動かす筋肉を見てみよう!
まずは、上腕二頭筋です。
上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)
上腕二頭筋は、いわゆる力こぶを作る筋肉です。
筋肉が二つに分かれているので二頭筋と呼ばれおり、筋肉の形が名前の由来になっています。らっきょうが2つ並んだような形です。
筋肉がくっついている骨の部位を解剖学では、起始停止(きしていし)といいます。
上腕二頭筋の起始停止
起始:肩甲骨の上部外側(イラストの緑の部分)
停止:橈骨の前面内側(イラストの青の部分)
つぎは、筋肉の働きです。
筋肉の働きのことを解剖学の作用(さよう)といいます。
上腕二頭筋の作用
上腕二頭筋は、肩関節と肘関節をまたいでついている筋肉なので、この筋肉が働くと、この2か所の関節が動くことになりますが、肩関節側の動きは少しイメージしにくいので、今回は肘関節側の作用をみてみます。
2つの代表的な作用をみてみましょう。
作用1:肘を曲げる
上腕二頭筋の一番分かりやすい作用は、この肘を曲げる作用です。この動きをすると、上腕二頭筋が縮んで膨らむことで、力こぶをつくります。
もう一つの作用は、
作用2:前腕を外側にひねる
前腕を外にひねる動きのときもこの筋肉は働いています。
次は、この上腕二頭筋が日常生活ではどんなときに活躍しているかをみてみましょう。
子どもを抱きかかえるとき
肘を曲げて重いものを持つときにこの筋肉は活躍しています。子供をだっこしているお母さんの上腕二頭筋はいつも頑張ってます。
かばんを持つとき
肘を曲げてかばんをよいしょっと持ち上げる、かばんを腕にかけて持つ、そんなときに働いています。旅行先での買いすぎはこの筋肉への負担が大きくなるので、要注意です!
次は、上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)をみてみましょう。
上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)
上腕三頭筋は上腕の裏側にある筋肉で頭が三つに分かれています。
この筋肉も上腕二頭筋と同じように筋肉の形が名前の由来になっています。らっきょうが3つ並んだような形です。
上腕三頭筋の起始停止
起始:肩甲骨の上部外側、上腕骨の後面(イラストの緑の部分)
停止:尺骨(手の甲側のひじ近く)(イラストの青の部分)
次は上腕三頭筋の作用をみてみましょう。
上腕三頭筋の作用
作用:ひじを伸ばす
上腕三頭筋は、二の腕部分で上腕二頭筋の反対側、さわるとプニプニしている部分についています。このように筋肉は、表裏の関係になっている筋肉があります。
この上腕二頭筋と上腕三頭筋が交互に働くことで、肘を曲げたり伸ばしたりすることができます。ペアで覚えておきましょう。
次は、この上腕三頭筋が日常生活ではどんなときに活躍しているかをみてみましょう。
包丁で野菜を切るとき
包丁で野菜をきるようなひじの小さな曲げ伸ばし作業をするとき上腕三頭筋は活躍しています。
腕を伸ばして押すとき
ひじを伸ばすときに働くこの筋肉は、前屈するパートナーの背中に手を当て、前方に押すときにも活躍しています。押戸を押して開けるときも同じです。
次は、前腕部についている前腕屈筋群をみてみましょう。
前腕屈筋群(ぜんわんくっきんぐん)
画面に文字を打ち込んだり、マウスをクリックしたり、僕らの指の細かい動きは前腕の手のひら側につく多くの筋肉が協力して行っています。
ほうきのような形をしています。まずは、起始停止をみていきましょう。
前腕屈筋群の起始停止
起始:上腕骨の内側、前腕骨の前面(イラストの緑の部分)
停止:手のひらと指の骨(イラストの青の部分)
次は前腕屈筋群の作用をみてみましょう。
前腕屈筋群の作用
前腕屈筋群は、肘関節と手関節、手のひらの中のたくさんの関節をまたいでついています。
この筋肉が縮むと、これらの関節が動くので
作用1:手首を曲げる
作用2:指を曲げる
イラストのように、手首を曲げたり、手を握る作用になります。
次は、この前腕屈筋群が日常生活ではどんなときに活躍しているかをみてみましょう。
パートナーの手を握るとき
前腕屈筋群は、握手をしたり、ダンスなどでパートナーの手を握ったりするときに活躍しています。
バッグの持ち手を握るときも活躍しています。
それでは最後は、前腕伸筋群をみてみましょう。
前腕伸筋群(ぜんわんしんきんぐん)
前腕伸筋群は、前腕屈筋群の反対側についている筋肉です。表裏の関係の筋肉なので、ペアで覚えましょう。
前腕屈筋群と同じように、ほうきのような形をしています。
前腕伸筋群の起始停止
起始:上腕骨の外側、前腕骨の後面(イラストの緑の部分)
停止:手の甲側の指の骨(イラストの青の部分)
この筋肉は、前腕屈筋群と同じように、上腕骨、前腕骨から手の骨についていますが、ついてる部位が手のひら側ではなく手の甲側です。
また、前腕屈筋群は上腕骨の小指側、前腕伸筋群は親指側につくのも特徴です。
前腕伸筋群の作用
作用1:手首を伸ばす
作用2:指を伸ばす
最後は、日常生活の中でどんな時に前腕伸筋群が活躍しているかをみてみましょう。
キーボードを打つとき
カタカタと指を細かく動かせるのは、この筋肉のおかげです。パソコンのキーボードを打つときも活躍しています。
手首を大きく反らして、指を曲げると手の甲に筋が浮き出てきます。これが、前腕伸筋群です。触って確かめてみましょう。
今回は、腕から手にかけてついている4つの筋肉をみました。
●手のひら側につく
・上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)
・前腕屈筋群(ぜんわんくっきんぐん)
●手の甲側につく
・上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)
・前腕伸筋群(ぜんわんしんきんぐん)
腕から手の動きは、これらの筋肉が協力してつくっています。
骨や関節、筋肉を知ることで、腕や手にかけて体の中を見える化できるようになります。
解剖学で体の中を見える化できると
・体のコンディショニング
・体をうまくコントロール
・体力をつける
・体を観察・分析
といったいろんな場面で役立ちます。
少しずつ学んで、ゆっくり見える化することができるようになりましょう。