![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/08/57F12768-95C6-458E-9B35-4AB2F51C572D.jpeg)
背中に羽のようについている肩甲骨。僕たちは、腕を動かすとき肩の関節だけが動いているわけではありません。
骨格的にみると、腕のはじまりは肩関節ではなく肩甲骨と鎖骨になります。
荷物を持つ、服を着る、ボールを投げるなど、生活の中で僕らはいつも腕を使っています。
肩甲骨には、腕を使うときに重要な筋肉がたくさんついています。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2021/02/956A30FA-3108-48A5-BEC5-DFF6FE33252F.jpeg)
肩甲骨を動かす筋肉は、浅い部分についている僧帽筋と、深い部分についている肩甲挙筋、前鋸筋、菱形筋があります。
・僧帽筋(そうぼうきん)
・大胸筋(だいきょうきん)
・前鋸筋(ぜんきょきん)
・菱形筋(りょうけいきん)
この他にもまだたくさん筋肉はありますが、今回はこの4つの筋肉をみていきたいと思います。
これから、この4つの筋肉がついている部位と働きを見ていきたいと思いますが、その前に、これらの筋肉がつく頭蓋骨や背骨、肋骨、肩甲骨を確認しておきましょう。
![頭蓋骨](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/23a65f763c95c45d6a1c102f9745ca4c-1-1024x1024.png)
![背骨](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/48b14ba2d483a9c2c2977ed1f8cfc037-3-1024x1024.png)
![肋骨](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/d7ce0ce953df06fd2c6cb0a11d5fa19b-3-1024x1024.png)
![肩甲骨](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/83941634abea58699d13e5b760de9841-2-1024x1024.png)
筋肉は、これらの骨にくっつきますので、まずは骨をしっかり見て、イメージできるようになりましょう。
肋骨と肩甲骨の間の関節を、肩甲胸郭関節(けんこうきょうかくかんせつ)といいます。
![肩甲胸郭関節 けんこうきょうかくかんせつ](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/ab8d8497d1985aad5af4178e4769538b-2-1024x1024.png)
この関節の動きをつくるのが、上で紹介した4つの筋肉になります。
肩甲骨を動かす筋肉を見てみよう!
まずは、僧帽筋をみてみましょう。
僧帽筋(そうぼうきん)
僧帽筋は、首から背中をおおう広い筋肉で、肩こりを起こす筋肉として有名です。名前の由来は、修道士のフードのような形からきています。日本語訳だと僧侶の帽子ということで僧帽筋です。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/4CAF6AD5-70D3-4674-BA34-CE2606ADF941-1024x1024.png)
筋肉がくっついている骨の部位を解剖学では、起始停止(きしていし)といいます。
僧帽筋の起始停止
起始:頭蓋骨~頸椎、胸椎の突起(イラストの緑の部分)
停止:鎖骨~肩甲骨の突起(イラストの青の部分)
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/99D7842B-BA4D-4F69-B06B-108C3026583C-1024x1024.png)
つぎは、筋肉の働きです。
筋肉の働きのことを解剖学の作用(さよう)といいます。
僧帽筋の作用
僧帽筋はこんな形をしています。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/9ADD433A-7AFB-4312-A6C9-554F85D97DBC-1024x1024.jpeg)
とても大きな筋肉ですので、筋肉が働く部位によって、肩甲骨の動きが変わります。
僧帽筋を上・中・下の3か所に分けてみてみましょう。
作用1:上部が働くと肩甲骨を上げる
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/FCD2B79F-F314-450B-89D2-078014C06C6F-1024x1024.png)
作用2:中部が働くと肩甲骨を背骨に近づける
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/7BC708AC-3F38-4BE6-854F-F8F24444ED77.jpeg)
作用3:下部が働くと肩甲骨を下げる
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/3EC11A48-1D5A-45F9-B050-E7242CEDD93F.jpeg)
僧帽筋は、このように頭蓋骨や背骨の方に動かします。
次は、この僧帽筋が日常生活ではどんなときに活躍しているかをみてみましょう。
ボールを投げるとき
ボールを投げるときなど、腕を背中の方向へ引くときに僧帽筋は活躍しています。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/BC704A58-2E38-46C6-BD0F-5B1AB8C79CA3-1024x1024.png)
カーテンを開けるとき
カーテンを開けようとして腕を上げたり引いたりするなど、肩甲骨を頭蓋骨や背骨の方向へ寄せるときにも使われています。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/1200a391e4b2a919238661708907e800-1024x1024.png)
次は、肩甲挙筋(けんこうきょきん)をみてみましょう。
肩甲挙筋(けんこうきょきん)
僧帽筋は首から肩をおおう大きな筋肉ですが、肩甲挙筋はこの僧帽筋の下についている筋肉で、滑り台のような形をしてます。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/2F23AB2E-0C84-422D-980A-0329617AA609-1024x1024.jpeg)
肩甲挙筋の起始停止
起始:第1~4頸椎の側面の突起(イラストの緑の部分)
停止:肩甲骨の上部(イラストの青の部分)
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/68925E26-3E02-4C2B-BDE4-F3FED6B18FC7-1024x1024.png)
次は肩甲挙筋の作用をみてみましょう。
筋肉の作用は、筋肉がついている部位の、どちらが固定されているかで動きが変わります。
肩甲挙筋の作用
作用1:首側を固定すると、首側に肩甲骨が引っ張られて肩甲骨が上がる
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/524C3241-B465-4B9D-9A3E-16CFD134F5C7.jpeg)
作用2:肩甲骨側を固定すると、肩甲骨側に首の骨が引っ張られて顔を横に向ける
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/27A539EA-E1F3-4A48-A9AB-517180DD8339.jpeg)
次は、この肩甲挙筋が日常生活ではどんなときに活躍しているかをみてみましょう。
振り返るとき
![肩甲挙筋の作用](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/50ed73ed1c577f92ed8ed74acabab05c-1024x1024.png)
高いところに手を伸ばすとき
![肩甲挙筋](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/94f480105a922035ff861e81bc35d2c7-1024x1024.png)
肩甲挙筋は、振り向く動きや、腕を肩甲骨から上に上げるときに活躍しています。
次は、前鋸筋をみてみましょう。
前鋸筋(ぜんきょきん)
前鋸筋は鋸(のこぎり)のようなギザギザした面白い形をしており、それが名前の由来にもなっています。
この筋肉は、肩甲骨と肋骨の側面についています。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/45445C81-2299-4DCB-9737-8A4756762713-1024x1024.png)
前鋸筋の起始停止
起始:第1~9肋骨の側面(イラストの緑の部分)
停止:肩甲骨の内側(イラストの青の部分)
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/878E888F-2F7C-41D0-B730-4FD2DE387F4A-1024x1024.png)
次は前鋸筋の作用をみてみましょう。
前鋸筋は大きな筋肉なので、上部と下部が働いた場合の2つの作用をみておきましょう。
前鋸筋の作用
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/CA8D035A-5FE8-4DEE-8CAA-BAADB2B980E8-1024x1024.jpeg)
作用1:上部が働くと肩甲骨の上部を前に押し出す
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/2DE25E5A-463B-40E0-AC9B-C5A1ACE9F2B5.jpeg)
作用2:下部が働くと肩甲骨の下部を前に押し出す
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/66CD5BAB-00B2-4ABB-857D-EB2A8FDEB6C0.jpeg)
次は、この前鋸筋が日常生活ではどんなときに活躍しているかをみてみましょう。
掃除をするとき
前鋸筋は、肩甲骨をお腹側に出すときに活躍してますので、イラストのように掃除をするために腕をお腹側に出すような動きのときに活躍しています。
![前鋸筋の作用](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/d15dc24c90d4c9d55aef5b3c6f5e51e4-1024x1024.png)
デスクワークで腕をパソコンの方にだすときや、ドアを押して開けるときにも、腕の根本で肩甲骨を安定させるために、前鋸筋は活躍しています。
猫背の人は、この筋肉が縮んでいることが多く、腕の動きにも硬さがでていることがあります。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/08/5FAFD447-12F6-4FAD-87DB-4D4EBFF370F9.jpeg)
それでは最後は、菱形筋をみてみましょう。
菱形筋(りょうけいきん)
菱形筋の菱は、ひしがたのひしです。筋肉がのかたちが名前の由来になっています。肩甲骨の間についている筋肉で、左右両方の筋肉を合わせてみると、初心者マークを逆にしたような形です。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/14FFAA50-946F-4354-A0C7-F456AC1895A1-1024x1024.png)
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/C02E9F1E-8C5B-4F3F-808C-978963A98409-1024x1024.png)
菱形筋の起始停止
起始:第7頸椎~第5胸椎(イラストの緑の部分)
停止:肩甲骨の内側(イラストの青の部分)
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/ABA1EF13-A664-44FB-9FDE-A53305900F37-1024x1024.png)
次は菱形筋の作用をみてみましょう。
菱形筋の作用
作用:肩甲骨を背骨に近づける
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/4AC4E50F-D74F-4E18-93DB-C0BF7E04C62F.jpeg)
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/2147971C-582C-4E58-926D-F71388283AE2.jpeg)
菱形筋は肩甲骨を背骨側に近づけるので、胸を開くような動きになります。
最後は、日常生活の中でどんな時に菱形筋が活躍しているかをみてみましょう。
背筋をシャキッと伸ばすとき
肩甲骨を引き寄せ、背筋を伸ばしたかっこいい姿勢をつくるときに活躍しています。
![菱形筋は背筋を伸ばす](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/57b967e47949c7a145e5bd8204e2da17-1024x1024.png)
このように、肩甲骨につく筋肉をみていくことで、肩甲骨をどの方向に動かしたときに、どの筋肉を使っているかが分かってきます。
そして、その動きを日常生活の中の動きに結びつけていくことで、生活の中でどの筋肉に負担がかかっているのかも分かるようになります。
そうなると、首から肩周辺にコリや痛みなどのトラブルが起きたときに、対処するべき筋肉を予測できるようになります。
そして、体の使い方を変えることで負担を減らしたり、コンディショニングをしたり、体力強化をはかったりすることもできるようになります。
腕を使うときは、肩甲骨だけでなく、肩の関節もつかっています。
今回紹介した筋肉以外にも、肩周辺にはたくさんの筋肉があるので、他の筋肉も学ぶと、より首から肩にかけての疑問や問題解決がしやすくなるので、まだ見てない方は、ぜひ、一緒にみておきましょう。
少しずつ解剖学を学んで、体の中のいろんな骨や関節、筋肉を見える化できるようになると、体に関するいろんな疑問や問題解決力がアップしていきます。
いっぺんに覚える方法はないので、1つ1つゆっくり学んでいきましょう。
![](https://anatomy-yoga.com/wp/wp-content/uploads/2020/05/FF78911F-1276-4BA6-A248-D22699510F65-1024x1024.png)